日本の商取引では、債務者(代金などを支払う側)が3ヶ月から6ヶ月の猶予を持って債権者(代金を受け取る側)に約束手形を発行し、債権者が金融機関に約束手形を持って行き、換金するという形が行われてきました。手形の期限までに債務者の当座預金に必要な金額がなければいわゆる「不渡り」となるわけです。「不渡り」は債務者にとっては商取引上の信用を大きく損ない、不渡り2回はその会社の倒産とほぼ同義語です。一方、債権者も受け取れるはずのお金を受け取れないと困る場合が多くなります。
そこで登場したのが日本型の「ファクタリング」と呼ばれるサービスです。「日本型の」と書いたのは、本来欧米で生まれたファクタリングは、売上債権を買い取るもの、国際取引で「信用状」を用いない取引で信用リスクを保証するものですが、日本独自の与信制度となって発展したからです。債権者が手形を受け取った後、債務者の支払い能力や経営状況などに不安を持った場合にファクタリング会社に保証を依頼します。依頼を受けた会社は債務者を審査し、債権者が受け取る予定のお金のどのくらいを保証できるかを債権者に伝えます。
無論、債務者の状況が芳しくなければ、当然満額より保証できる金額は少なくなります。債権者は、貸し倒れリスクを回避でき、債務者は手形割引の期日までに資金が用意できなくてもファクタリング会社が保証しているので不渡りとはならない、という仕組みです。この場合、「システム参加料」を債権者(場合によっては債務者も)がファクタリング会社に支払います。この料金は「保険金」のようなものだと言えるでしょう。